著作権(第11回)著作権侵害とその対処法:どう対応すべきか?

第11回 著作権侵害とその対処法:どう対応すべきか?

はじめに
 前回は、キャラクターと著作権をはじめとする知的財産権との関係について解説しました。今回は、自身の著作権が侵害された場合に、権利者がどのように対応すべきか、具体的な対処法と注意点について解説していきます。
著作権侵害は、クリエイターの創作意欲を削ぎ、経済的な損失をもたらす深刻な問題です。侵害を発見した場合、適切な対応を取ることで、被害の拡大を防ぎ、損害の回復を図ることが重要です。本稿では、著作権侵害の種類、発見から解決までの具体的なステップ、そして法的措置を検討する際の注意点について解説します。


1. 著作権侵害の種類と発見
(1)主な著作権侵害の態様
 著作権侵害は、様々な形で行われます。主な例としては、以下のようなものが挙げられます。
 ① 無断複製:著作物を許可なくコピーする行為(例:書籍の無断コピー、音楽ファイルの違法ダウンロード)。 ② 無断アップロード:著作物をインターネット上に無断で公開する行為(例:動画共有サイトへの違法アップロード、SNSへの無断転載)。 ③ 無断利用:著作物を許可なく上演、演奏、上映、口述、展示する行為。 ④ 無断改変:著作物の内容を著作者の意に反して改変する行為。 ⑤ 海賊版の作成・頒布:著作物を不正に複製し、販売・配布する行為。
(2)著作権侵害の発見方法
 自身の著作権が侵害されているかどうかを把握するためには、定期的な監視が重要です。
 ① インターネット検索:自身の著作物のタイトルやキーワードで検索し、無断で公開されているサイトやコンテンツがないかを確認します。 ② 画像検索・動画検索:自身の作成した画像や動画が無断で使用されていないかを確認します。 ③ SNSのチェック:SNS上で自身の著作物が無断で共有されていないかを確認します。 ④ 知人・関係者からの情報提供:ファンや関係者からの情報提供も、侵害発見のきっかけとなることがあります。 ⑤ 専門業者への依頼:大規模な侵害が疑われる場合は、著作権侵害の監視や摘発を専門とする業者に依頼することも検討できます。


2. 著作権侵害への対処ステップ
 著作権侵害を発見した場合、以下のステップで対処を進めることが一般的です。
(1)証拠の保全
 侵害の事実を示す証拠を確保することが最も重要です。侵害が行われているウェブサイトのURL、スクリーンショット、ダウンロードしたファイル、日時などを記録しておきましょう。場合によっては、動画や音声などを保存しておくことも有効です。
(2)警告と削除要請まずは、侵害を行っている者に対して、著作権侵害である旨を警告し、速やかに侵害行為を停止し、無断利用されている著作物を削除するよう要請します。連絡先が明らかな場合は、内容証明郵便などで通知を送ることも有効です。ウェブサイトの管理者やSNSの運営者に対して、削除要請フォームやメールで連絡することも一般的な手段です。
(3)プロバイダへの削除要請(プロバイダ責任制限法に基づく請求)
 侵害者が不明な場合や、ウェブサイトの管理者などが対応してくれない場合は、プロバイダ責任制限法に基づき、インターネットサービスプロバイダ(ISP)に対して、侵害情報の削除を要請することができます。この請求には、一定の書式や証拠が必要となります。
(4)法的措置の検討(弁護士への相談)
 警告や削除要請に応じてもらえない場合や、損害賠償を請求したい場合は、弁護士に相談し、法的措置を検討します。法的措置には、以下のようなものがあります。
 ① 差止請求:裁判所を通じて、侵害行為の停止を求める手続きです。 ② 損害賠償請求:著作権侵害によって被った損害の賠償を求める訴訟です。 ③ 刑事告訴:悪質な著作権侵害に対して、警察や検察に捜査を求める手続きです(著作権法第119条など)。
(5)示談交渉
 法的措置に進む前に、侵害行為者との間で示談交渉を行うことも有効な手段です。示談によって、早期に問題解決を図り、裁判にかかる時間や費用を節約できる可能性があります。


3. 法的措置を検討する際の注意点
 法的措置は、権利者にとって最終的な手段となりますが、検討する際にはいくつかの注意点があります。
(1)費用と時間
 訴訟などの法的措置には、弁護士費用や裁判費用など、 多大な費用と時間がかかる場合があります。費用対効果を慎重に検討する必要があります。
(2)証拠の重要性
 訴訟で勝訴するためには、著作権侵害の事実を明確に示す証拠が不可欠です。証拠が不十分な場合は、請求が認められない可能性もあります。
(3)相手方の特定
 損害賠償請求を行うためには、侵害行為者を特定する必要があります。特定が困難な場合、プロバイダへの発信者情報開示請求などの手続きが必要となることがあります。
(4)権利の有効性
 自身の著作権が有効に存在しているか(保護期間内であるか、創作性を有するかなど)を確認する必要があります。
(5)専門家との連携
 法的措置を検討する際には、著作権に詳しい弁護士に相談し、適切なアドバイスを受けることが不可欠です。弁護士は、法的な手続きだけでなく、証拠収集や示談交渉などもサポートしてくれます。


4. 著作権侵害を受けないための予防策(再掲
 自身の著作権が侵害されることを未然に防ぐための対策も重要です(第9回参照)。
(1)著作権表示を適切に行う (2)利用規約やライセンス条件を明確にする (3)著作物の記録と保管を徹底する (4)インターネット上の監視を定期的に行う (5)著作権登録制度の利用を検討する


5. 著作権侵害に関する相談窓口(再掲)
著作権侵害に関する相談は、以下の窓口で行うことができます(第9回参照)。
• 日本弁護士連合会、各地の弁護士会
• 日本著作権情報センター(CRIC)
• コンテンツ海外流通促進機構(CODA)


むすび
 今回は、著作権侵害が発生した場合の対処法について、発見から法的措置まで具体的なステップと注意点を解説しました。著作権侵害は、クリエイターにとって大きな脅威ですが、適切な知識と対応によって、被害を最小限に抑えることができます。
 侵害を発見した際には、冷静に証拠を保全し、必要に応じて専門家の助けを借りながら、適切な対応を検討しましょう。そして、何よりも侵害を受けないための予防策を講じることが重要です。
 次回のテーマは「国際的な著作権の違いと保護:海外ではどう守られるのか?」です。著作権の保護は、国によって制度が異なる場合があります。海外で自身の著作物を保護するためには、どのような点に注意すべきかについて解説していきます。

2025年07月11日